ワイン

ワインは最高だ。私だけでないと思うが夜を徹して飲める。極上の肉と合わせて飲む、知り合いとクダをまきながら飲む、軽メシを作りながら飲む、そのどのシチュエーションでもうまい。

 

ワインを常飲するようになってたったの2年だが、ゾッコンだ。ブドウをイメージして飲むと尚いい。

 

ワインの原料になるブドウにはさまざまな品種がある。品種ごとに実の成る高さが違うし、そこに生える雑草まで違う。さらには同じ品種のはずなのに、畝によってあっちの実はプリプリなのにこっちのはシワシワと実のなり方まで変わってくる。それは樹齢、土壌の成分、気温、雨量、風、日のさし方などブドウの発育に影響する因子どれもが様々なスケールで変わってしまうからだろう。これが一様でないブドウを生み出す。業界ではこの環境めいたものをテロワールというのだそうだ。テロワールという概念があるだけで「ワインは農業」という言葉が胸にスッと落ちるようだ。

 

ヒトの面から見ても、ワインの作り手はテロワールを踏まえ各々の哲学に照らしワインを醸している。ワインを飲む人には店でしか飲まない人もいるし、家にセラーを持っている人もいるし、冷蔵庫に投げる人もいる。飲む方にだってワインとの付き合い方というものがある。ワインそのものにしたって瓶の中ではコルクを開けようが開けまいがそれぞれに熟成(や劣化)が進んでいる。考えたらキリがない。もはや宇宙だ。

 

ヒトにおいてその一個人が体調や飲む状況など一つのテロワールから生まれた存在であると仮定するなら、彼がワインを嗜む瞬間はもう宇宙と宇宙がぶつかっているといってもいい。すごくドラマチックで刺激的だ。そこまで思考を飛ばしてくれるワインに感謝を捧げ、今日も酔おうと思う。